「作業手順書を作らないといけないのは分かっているが、書く時間がない」——中小製造業でよくある状態です。外注(代行)は選択肢のひとつですが、頼む前に社内で決めておかないと、出来上がったものが使われずに終わります。この記事では、外注が向くケースと、依頼前に決めること、見積で確認する点を整理します。動画で残す場合の注意点は動画マニュアル作成の外注にまとめています。
外注が向くケース、内製で足りるケース
まず判断してください。全部を外に出す必要はありません。
- 外注が向く:書ける人が現場にいるが、その人が忙しすぎて手が回らない。書くこと自体が本業を圧迫している。
- 外注が向く:ベテラン本人に書いてもらったが、薄くて使えなかった。これは能力の問題ではなく、本人には「当たり前」が見えないという構造の問題です。第三者が質問して引き出す必要があります。
- 外注が向く:形式や粒度がバラバラで、社内に基準がない。1本目を型として作ってもらい、以降は自社で量産する使い方が有効です。
- 内製で足りる:手順が一本道で、書ける人の時間が取れる。この場合は外に出すほうが手間です。
依頼する前に、社内で決めておく3つ
ここが決まっていないと、見積も比較できませんし、納品物も的を外します。外注先には決められない部分です。
- 対象業務を1つに絞る:「うちの業務全般」で頼むと、範囲が定まらず費用も期間も膨らみます。「止まると一番困るのはどれか」で1つ選んでください。
- 読む相手を決める:新人が読むのか、他部署の応援者が読むのか、明日から引き継ぐ後任が読むのか。相手によって、書く粒度も、省略していい前提も変わります。
- 更新する担当を決める:ここを決めずに作った手順書は、必ず1年で古くなります。誰が、どのタイミングで見直すか。決められないなら、更新しやすい形式で作ってもらう必要があります。
見積で確認する4点
金額だけを並べても比較になりません。中身を揃えてから比べてください。
- 取材から入るのか、清書だけか:現場に来て担当者に聞き取りをするのか、こちらが用意した下書きを整えるだけなのか。ここで工数が数倍変わります。
- 判断・例外まで扱うか:正常時の手順だけを書くのか、「こうなったらどうするか」まで含めるのか。現場が止まるのは例外時なので、ここを含まない手順書は使用頻度が下がります。
- 更新のしやすさ:編集できる形式で元データをもらえるか。特定のツールでしか開けない形だと、そのツールの契約が続く限りしか使えません。
- 権利と保管場所:作った手順書の著作権(作った文書を直したり使ったりできる権利)がどちらにあるか。社外秘の情報を扱う場合、その取り扱いをどう定めるか。
「きれいな手順書」より優先すること
納品物の見た目に差が出やすいのですが、現場で使われるかどうかは別のところで決まります。
- その業務を知らない人が、読んで動けるか:これが唯一の合格基準です。書いた人と、その業務を知っている人だけで検収すると、この検証を飛ばしてしまいます。
- 探せる場所にあるか:どれだけ良い手順書でも、フォルダの奥にあれば使われません。保管と更新のルールまで含めて設計されているかを確認してください。
- 直せるか:現場は変わります。直せない手順書は、変わった瞬間に嘘の書類になります。
納品後に必ずやること
受け取って終わりにしないでください。その業務を知らない人に、手順書だけを渡して実際にやってもらう——これが唯一の検品方法です。詰まった箇所が、書き漏らしです。
この検証を契約の中に入れておくと、外注先も「読んで動ける形」を意識して作ります。見積の段階で「納品後に第三者検証をしたい」と伝えておくのが有効です。
まとめ
- 外注が効くのは、書く時間がない場合と、本人が書くと薄くなる場合。
- 依頼前に決めるのは、対象業務を1つに絞る・読む相手・更新の担当の3つ。外注先には決められない。
- 見積で確認するのは、取材の有無・判断や例外を含むか・更新のしやすさ・権利と保管。
- 金額を比べる前に、この4点で中身を揃える。
- 納品後は、その業務を知らない人に読ませて動けるか確かめる。
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